冒頭、車椅子の男が工場でチェーンを首に巻きつけ、
自死する場面から始まります。


つまり主人公の取立ての犠牲に
なったことを示している。


主人公のガンドが登場するのはこの後だ。
このガンドが如何にも悪そうだ。


この役をやっているイ・ジョンジンという役者は
若手実力派とのことだが、初見なので何とも言えない。
しかしここでの演技は迫力あるものだった。

そして途中から現れる謎の女。

彼女はガンドを、産んですぐ捨てた母親だと名乗り
執拗に彼につきまとい、挙句彼のアパートに転がり込んでしまう。

そして彼の食事の世話をし、時には彼の取立ての手伝いをし、
彼の為であろう編み物を始める。


無償の愛を提供し続ける女に対し、ガンドも次第に彼女に
心を許すようになり、二人で仲良く街に遊びに行くようにまでなります。


結論から言えば、この女はガンドによって
自殺に追い込められた男の母親で、それが冒頭の男だったという訳。
つまり復讐する為に彼の許に来たのだが、
それは単なる復讐ではなく、強い信念を持って
我慢強く彼の心に入り込む道を選ぶ。

ピエタとは、十字架から降ろされたイエス・キリストを
胸に抱く聖母マリア像のことで、
ここではキリストがガンド、マリアが女という図式。

勿論ガンドがキリストのような救世主であるはずがない。
逆に悪魔と呼ばれている人間だ。

女がマリアというのも当てはまらないが、
ただ彼女の慈愛は深いものがある。
そしてそれは実の息子だけでなく、ガンドにも向かっている。

復讐の為にガンドの許に来たはずだったのだが、
彼の孤独さに触れ感情移入してしまいます。

 カテゴリ

 タグ